年齢別にみた女性の乳がんの罹患(りかん)率は30歳代から増加し始め、50歳前後にピークを迎えます。

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◇ 乳がんとはどのようなものなのか

 大人の女性の乳房は、乳頭を中心に乳腺が放射状に15〜20個並んでいます。それぞれの乳腺は小葉に分かれ、
 小葉は乳管という管(くだ)でつながっています。乳がんの約90%はこの乳管から発生し、乳管がんと呼ばれます。
 小葉から発生する乳がんが約5〜10%あり、小葉がんと呼ばれます。
 乳管がん、小葉がんは、乳がん組織を顕微鏡で検査(病理学的検査)すると区別できます。
 この他に特殊な型の乳がんがありますが、あまり多いものではありません。

 年齢別にみた女性の乳がんの罹患(りかん)率は30歳代から増加し始め、50歳前後にピークを迎え、その後は次第に減少します。
 女性では、乳がんにかかる数は乳がんで死亡する人の数の3倍以上です。
 これは、女性の乳がんの生存率が比較的高いことと関連しています。
 男性の乳がんは、年間の死亡数で女性の乳がんの100分の1以下のまれながんですが、女性の乳がんに比べて生存率が低い
(予後が悪い)ことが知られています。

 年次推移は、罹患率、死亡率ともに一貫して増加しており、出生年代別では、最近生まれた人ほど罹患率、死亡率が高い傾向が
 あります。

 罹患率の国際比較では、東アジアよりも欧米、特に米国白人が高く、アメリカの日本人移民は日本国内在住者より高い傾向が
 あります。

 乳がんの発生、増殖には、性ホルモンであるエストロゲンが重要な働きをしています。
 これまでに確立されたリスク要因の中には、体内のエストロゲンレベルに影響を与えるようなものがほとんどです。
 実際に体内のエストロゲンレベルが高いこと、また、体外からのホルモンとして、経口避妊薬の使用や閉経後のホルモン補充療法
 によって乳がんのリスクが高くなる可能性があるとされています。

 生理・生殖要因としては、初経年齢が早い、閉経年齢が遅い、出産歴がない、初産年齢が遅い、授乳歴がないことがリスク要因と
 されています。
 また、閉経後の肥満は確立したリスク要因ですが、閉経前乳がんについては、逆に肥満者でリスクが低くなることがほぼ確実と
 されています。

 飲酒習慣により、乳がんのリスクが高くなる可能性があるとされ、また、閉経後の女性では運動による乳がんリスク減少はほぼ
 確実とされています。
 その他の食事、栄養素に関しては、野菜、果物、イソフラボン等が注目されているものの、十分に根拠がそろっているものはまだ
 ありません。

 その他、一親等の乳がんの家族歴、良性乳腺疾患の既往、マンモグラフィ上の高密度所見、乳がんの確立したリスク要因とされて
 います。

 乳がんの場合、がん細胞は比較的小さい時期から乳腺組織からこぼれ落ち、リンパや血液の流れに乗って乳腺から離れた臓器
 (肺、肝臓、骨など)に小さな転移巣をかたちづくると考えられています。
 これらの微小な転移巣が大きくなると症状が出たり、検査で検出されたりするようになり「遠隔転移」と呼ばれます。
 例えば、肺に転移した場合は「乳がんの肺転移」と呼び、肺にあってもその性質は乳がんであり、もともと肺から発生する
 「肺がん」とは異なります。
 このように遠隔転移を有する乳がんを総称して「転移性乳がん」と呼びます。
 乳房にがんが見つかった時点ですでに遠隔転移を有する場合と区別して、手術などの初期治療を行ってから発見される場合を
 「再発乳がん」と呼びます。
 再発乳がんの中でも、手術をした部分だけに再発することを「局所再発」と呼びます。
 また、がんが皮膚や胸壁に及んでいるためそのままでは手術ができない乳がんは「局所進行乳がん」と呼びます。

 遠隔転移のない手術が可能な乳がんの場合、全身にこぼれ落ちている可能性のある微小転移に対して全身治療、
 すなわち薬による治療を行うことによって、再発を予防することができます。
 このような薬の治療を「術後薬物療法」と呼びます。
 最近では薬の治療を手術に先行して行う場合もあり、これを「術前薬物療法」と呼びます。
 薬の治療は再発のリスクの大きさや年齢によって選択されます。
 乳がんの再発リスクを予測する尺度にはしこりの大きさや、わきの下のリンパ節(腋窩リンパ節)への転移の個数、
 ホルモン受容体の有無などがあります。
 再発のリスクがある場合にはリスクや年齢に応じて放射線などの局所療法に加え、全身治療として薬物療法を行うことが
 推奨されます。


        上記の内容は「独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター」様より抜粋したものです。

◇ 浸潤がんと非浸潤がん

 乳がんは、大きくわけて「非浸潤がん」と「浸潤がん」に分類されるのが特徴です。
 乳がんは、乳管の中から発生するものですが、進行度によって、乳管の内部にとどまっているものを「非浸潤がん」、
 乳管の外にまで浸潤しているものを「浸潤がん」といいます。

 「非浸潤がん」はしこりがなく、早期がんに分類され、他臓器への転移の可能性も低くなります。
 逆に「浸潤がん」はしこりの大きさが1cm以上になっていることが多く、転移の可能性も考えられます。
 ちなみに私の妻はしこりが3pあり最終的な診断では非浸潤がんでした。
 
 がんは一度、浸潤がんになると、細胞分裂を繰り返しながら大きくなり、さらにリンパの流れや血流にのってほかの臓器へと
 転移します。

 非浸潤がんといっても乳房を摘出しなければならない場合もあります。
 これは乳管内にとどまっている早期のがんであっても、乳管に沿って乳房に広がっている可能性があり、
 乳がんが、しこりに限局している場合なら「温存」が可能ですが、乳房内に広がっていることにより、
 「温存」の適用範囲ではなくなるからです。

 浸潤していないため転移の可能性が低いので治療は手術のみで終わり、がんをすべて切除することにより、
 完治の可能性が非常に高くなります。
 

◇ 乳がん発生の主な原因とは

 乳がんの原因を総括すると乳管の組織細胞が細胞分裂する時に遺伝子が傷つくことから発生します。
 すなわち乳管組織の遺伝子を傷つける可能性のあるものが乳がんの原因になると考えられます。


 女性ホルモンのエストロゲンが乳がんの発生に大きく関係していることが分かっています。
 エストロゲンの主な産生源は卵巣、副腎、脂肪組織になります。


 脳の視床下部から放出される黄体形成放出ホルモンが下垂体前葉を刺激し、性腺刺激ホルモンである黄体形成ホルモン、
 卵胞刺激ホルモンを分泌させます。
 そして、これらのホルモンが卵巣を刺激してエストロゲンを分泌させます。
 一方、視床下部から放出される副腎皮質刺激ホルモン、下垂体前葉からの副腎皮質刺激ホルモンの分泌を促進し、
 副腎皮質からのアンドロゲン(男性ホルモン)が産生されます。
 脂肪組織では副腎由来のアンドロゲンからアロマターゼという酵素の働きによってエストロゲンが産生されます。


 乳がんの原因/閉経前
 

 卵巣から分泌される女性ホルモンのエストロゲンは卵巣からの分泌が10歳前後になって始まり、
 乳管の細胞分裂を促す作用があります。
 エストロゲンはがんの促進を促すため、エストロゲンが乳腺組織に作用する期間が長いほど乳がんの発生率が高くなることが
 知られています。


 現代の日本女性は、食生活の欧米化に伴い発育も体格もよくなりました。
 そのため初経が以前より早くなり、逆に閉経は遅くなってきています。
 また少子化の影響か出産の機会も減りました。
 これらはエストロゲンにさらされる期間が長くなったことを意味します。
 こうした背景から、乳がんが発病しやすくなったと考えられています。


 乳がんの原因/閉経後


 閉経後は卵巣に代わって、副腎から分泌されるアンドロゲンという男性ホルモンが脂肪組織に豊富に含まれる
 アロマターゼという酵素の働きによってエストロゲンに変換されてしまいます。
 そのため閉経後は肥満であることが乳がん発生の大きなリスクとなります。


 また肥満の女性は、食生活が脂っこいものが好きであったり、動物性たんぱく質、脂質が好きであったり、
 甘いものが好きである場合が多く、食生活が欧米女性に近いということも乳がん発生のリスクを高めているといえるでしょう


 乳がんの原因/初産年齢の高齢化、出産回数の減少


 妊娠中はホルモンの環境が大きく変化し、乳がんの発症を抑える方向に作用すると言われていますが、
 最近は初産年齢の高齢化が進み、乳がんの発生が始まる若年期に出産を経験しない女性が多くなってきているのが現状です。
 また子供を産まない、出産回数の少ないという女性も増加の傾向にあります。
 これらがエストロゲンの作用期間を長くして乳がん発生のリスクを高めていると考えられています。

 初産が30歳以上である、授乳経験がないなどは乳がんのリスクを高めることななります。


 乳がんの原因/ストレス


 統計的な数値はないのですがが、ストレスは乳がん発生のリスクを高めるといわれています。
 相談を受ける乳がんの患者さんの多くはストレスを感じている方が多く、責任感が強くまじめで、どちらかというと神経質な
 タイプの方が多いようです。

 責任ある立場に就いて仕事をしている方やまじめで物事を大雑把に考えることが苦手な方、
 細かいことに気がつく方は知らず知らずのうちにストレスが溜まることが多く、乳がん発生の原因の一つであるストレスを
 軽減するためにも、息抜きをすると良いでしょう。

 乳がん予防のためにも適度な運動をすることでストレスの解消をすることをお勧めします。


 乳がんの原因/遺伝


 乳がんを引き起こす原因として遺伝も関連が深いと考えられています。しかし医師の間では賛否両論あるようです。
 三親等以内の家族・親戚に乳がんの発症者があると、乳がん発生のリスクは一般の人に比べて高くなるようです。

 ただし、実際の意味での遺伝性の乳がん(乳がんにかかりやすい特定の遺伝子が親から子へ引き継がれる)はごくわずかで、
 多くは、体質や食生活などが似ている影響かと思われます。

 いずれにせよ、乳がんの家族や親戚に乳がんの人が多い場合は、特に若いうちから自分の乳房に注意して、乳がん検診も
 積極的にうけておいた方が良いでしょう。

    上記の内容は【がん治療情報】冬虫夏草の研究-株式会社エフェクト様より抜粋させて頂きました。

◇ 乳がんと乳製品の関係

 乳がんになる人の多くは、コーヒー、牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品を頻繁にとるなど全般的に肉食系の人が
 多いということがわかりました。
 ちなみに私の妻も主治医に「今後は乳製品をあまり取らないように」と言われました。
 絶対にだめだということではありませんがなんでも過剰な摂取はよくないということでしょう。
 さらに乳製品を好む人は乳がんを発症しなくとも「乳腺症」の症状がでることもわかっているようです。
 乳房にしこりが出来て感触が乳がんに似ています。

 肉食と乳製品の過剰摂取が乳腺症を引き起こし改善されないままこのような食生活を続けると乳がんになる可能性が
 非常にに高くなるということです。



◇ 乳がんの病期(ステージ)の解説

 病期(ステージ)とはがんの進行の程度を示す言葉で、英語をそのまま用いてステージともいいます。
 乳がんと診断された場合、がん細胞が乳腺の中でどの程度広がっているのか、他の臓器に転移しているかどうかについて
 詳しい検査が行われます。
 すなわちしこりの大きさやリンパ節への有無、遠隔転移の有無によって5段階の臨床病期(ステージ)に分類され
 この臨床病期に応じて治療方法が変わってきます。

 


 ・再発性乳がんとは
 
 乳がんの治療に対する処置を行った後、再び乳がんがででくることを「再発」といいます。
 普通は他の臓器に再発することを(転移)を指し、W期の乳がんとあわせて「転移性乳がん」と呼びます。
 手術をした乳房の領域にでてくる「局所・領域再発」と区別します。





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