胸のしこりから考えられる、乳がん以外の病気はつぎのようなものがあります。
      乳腺症、乳腺のう胞、乳腺線維腺腫、乳腺葉状腫瘍、乳腺炎

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◇ 胸のしこりからどのような病気が考えられるのか?

  「胸にしこりを感じます、乳がんではないかと気になります。」
  
  上記のようなケースで悩んでいる人が非常に多いらしいです。確かに乳がんの代表的な症状のひとつに胸のしこりが
  挙げられます。
  しかし、胸のしこりの約90%は良性のもので乳がん以外の病気でも現れるようです。

  ではしこりとはどうゆうもので、どうしてできるのか解説していきます。
  まず、乳がん以外のしこりに関係する疾患には乳腺症、乳腺のう胞、乳腺線維腺腫、乳腺葉状腫瘍、乳腺炎などがあります。
  これらの疾患は、しこりの状態によってある程度分けることができます。

  

◇ どうして胸にしこりが出来るのか?

  乳房は主に乳腺と脂肪組織で作られています。 乳腺は15〜20程度の乳腺葉の集まりから成り、各乳腺葉は乳頭へ続く
  乳管を持っています。
  出産すると、乳腺葉にある乳腺細胞が働いて母乳がつくられます。
  そして乳輪腺を通って母乳が出るようになります。
  乳腺は女性ホルモンの分泌と緊密な関係があり、整理の周期に合わせて乳腺が大きくなり、 整理前に乳房が張ったり痛んだり
  するのは、乳腺が大きくなることなどが影響しています。
  しこりの原因は女性ホルモンが大きく影響していると考えられていますが、それ以外に乳管の中に分泌物がたまることでしこり
  が出来、しこりもそれぞれの疾患によって異なります。


◇ 乳腺症(にゅうせんしょう)

  30〜40歳代の女性にとても多くみられる胸のしこりで、 しこりは大きさはさまざまで数多く出来、症状は指で触れると周囲が
  はっきりしない、弾力性のあるでこぼこ感があるなどです。
  しこりは整理前に大きくなり、整理が終わると小さくなります。
  閉経すると症状は軽くなる傾向があり、乳腺症によるしこりは乳房内の上皮や乳腺の間質という部分が増殖したものです。
  主な原因としてはホルモンの乱れや特にエストロゲンの過剰な分泌が考えられています。
  検査には、触診、超音波検査、マンモグラフイーなどを行います。なお左記の検査ではっりしない場合は細胞診を行います。
  治療には、症状が強い場合は鎮痛剤やホルモン剤、漢方薬などを処方します。
  乳腺症のしこりは良性で、乳がんに移行することはありません。
  しかし、乳がんと平行して発症することもあるので要注意です。

  「しこりの状態」
  「しこり以外の症状」
  •  ・鈍い乳房の痛みや張りがあり、乳頭から透明の分泌物が出る
  •  ・時にはリンパ腺が腫れたりすることもある

◇ 乳腺のう胞(にゅうせんのうほう)

  30〜50歳代に多く見られる乳腺症の一種で、乳管の一部に液体がたまって袋状になった良性のしこりです。
  特に痛みなどはなく、つるつるした感じのしこりで、超音波検査で診断でき、自然に治ることもあります。
  放置しておいても問題はありません。
  しこりが気になる場合は、乳房に細い針をさして液体を吸引し検査します。


  「しこりの状態」
  「しこり以外の症状」
  •  ・特にありません 


◇ 乳腺線維腺腫(にゅうせんせんいせんしゅ)

  思春期から20歳代にかけてよく見られる乳腺の病気。
  乳腺線維腺腫は乳房の線維成分と乳腺が増殖することが原因でおきます。
  おもに女性ホルモンの影響が大きいと考えられています。
  しこりは硬くて平たく、表面はすべすべしてよく動きます。 しこりは複数できることもあり、大きさは小豆大から卵大まで
  とさまざまです。
  良性のしこりなので、痛みや皮膚の引きつれ、つっぱりを感じることはありませんが、 通常、しこりの大きさが1p以下で
  あれば経過観察します。
  しかし、しこりの感触が乳がんと似ているので、周囲に不整なしこりがあるときは、 念のため細胞診断などの検査をおこなった
  方が良いようです。
  しこりが大きなものや急に大きくなったものなどは手術で摘出する場合もあります。
  手術は皮膚を数センチ切開してしこりを取り出す簡単なもので傷は目立たず、入院の必要はありません。

   「しこりの状態」
   「しこり以外の症状」
  •  ・特にありません


◇ 乳腺葉状腫瘍(にゅうせんようじょうしゅよう)

  30〜40歳代に多くみられる病気。
  乳腺線維腺腫とよく似た症状があり、しこりが2〜3か月の間で急速に大きくなるのが特徴です。
  左右の乳房の大きさがまったく異なってしまうこともあります。
  ほとんどは良性なしこりですが、悪性のものもあるので注意が必要です。
  良性のものはしこりだけを切除しますが 悪性の場合は乳房切除手術が必要になることもあります。

  「しこりの状態」
  「しこり以外の症状」
  •  ・特にありません


◇ 乳腺炎(にゅうせんえん)

  産後授乳期に見られることが多い病気で乳腺炎には急性と慢性があります。
  急性乳腺炎は二種類あり、母乳が乳腺にたまりすぎが原因で炎症を起こす「うっ滞性乳腺炎」と
  乳管から細菌が入って炎症を起こす「化膿性乳腺炎」とがあります。
  発熱や腫れ、痛み、悪寒、ふるえなどの症状が現れ、ときにはしこりのような硬さを感じる場合もあります。

  治療の基本は、たまりすぎた母乳を出すことと、 高熱がある場合は、抗生物質を使用します。
  化脆性乳腺炎が重傷になった場合は切開して膿を出さなくてはなりません。この場合、子供への授乳をやめなくてはいけません。

  慢性乳腺炎は、授乳期以外のときに起こき、急性化脆性乳腺炎の治療をきちんと行わなかったために慢性化したものと
  考えられますが、 授乳に全く関係なく起こることもあります。
  痛みや腫れがあれば、抗生物質を使用します。

  「しこりの状態」
  「しこり以外の症状」
・熱感、腫れ、痛み


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